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====第8話====

足の調子は良くなり、部材にも心配がなくなり、さあ順調に体験ラインをこなせるぞ!と思ったのですが、やはり助っ人の指導員が時々いなくなると、怒濤のよ うに訪れる人々をさばき切れずに四苦八苦しました。どうみても他のブースではこんな状態ではなく、私の体験ラインだけ異常事態を生じていました。(写真 1)
一度、IWCS(国際木文化学会)の取材を受けた時に、その理由が分かった気がしました。取材をした男性自身が体験摺りを行いましたが、黒色の摺りが終 わった紙を版木から取り出す際に、わざと回りの人たちに見えるような取り出し方をしました。すると回りから「ウォー!!』という大歓声が上がりました。突然アンコールワットの精密な輪郭線が現れたからです。(写真2)
アンコールワットは、カンボジアの国旗にも描かれていて、この国の象徴でもあります。(写真3)
今回、デザインを起こす際、オーダーメイド的な発想で、カンボジアの人達が好みそうなものとして、スタッフと共にアンコールワットと決めましたが、それが見事に来訪者のツボにハマったようでした。
このように、イベント期間の5日間、最後の最後まで指導にあけくれていました。結局、何人の人達に体験して頂いたかは、正確な数は分かりませんが、使用した紙の枚数から、(廃棄した紙も多数ありますが)550~600人位になるのではないかと思われます。
イベント最終日、夕方から閉会式が予定されていましたが、スタッフから私の方に「ステージに上がってもらうので一番前に座ってください」との依頼がありま した。内心、何かもらえるのかな?とも期待しましたが、ステージに上がって頂いたものは、シルク100%のアンコールワットの絵入りスカーフと修了証書で した。(写真4~5)いずれも"特別"といえる程のものではありませんでした。そもそも、IWCSというのはNPOであり、このイベントで販売を行うこと や、特定の団体に肩入れすることも、きつい御法度としている非営利集団だからです。 でも、そうはいっても、100ヵ国以上が参加しているイベントで、ステージに上げられたのは7人だけでしたので、IWCSならではの「粋な計らい」が感じられるものでした。 私は、このスカーフと修了証書をステージ上で受け取った瞬間、『初めてのオーダーメード木版が成功した!』との確信を得たのでした。